敵対的交渉では相手を呼びつけろ
交渉では説得を試みてはいけない。説得とは、一方的な、譲歩をしないやり方。自分の主張を押し付けるやり方だ。
交渉がそれではダメ。物事にはつねに多面的なものの見方がある。自分の一面的な見方だけにしたがい、それを受け入れさせよう、屈服させよう、と繰り返しても、相手は折れてくれない。
私にも、説得しようとして自分の主張に固執し、タイミングよく譲歩することができなくなり、クライアントが望む結果を得られなかったことがあった。しかし、交渉の経験を重ねるうちに、自分が譲歩すれば相手も喜ぶ、相手が喜べば譲歩をしてもらえる、ということを学んだ。交渉においては、自ら譲歩して、それと引き換えに相手から譲歩を得る。それが基本。まさにギブ・アンド・テイクが要なのだ。
負けない交渉の鉄則
前の店でいきなり価格の交渉をして失敗した私は、今度は、最初は値段の話はしないことにする。
「この車は過去に何人のオーナーがいたのですか?」
「走り具合はどうですか?」
「事故はなかったですよね?」
セールスマンは丁寧に答える。即答できない質問については、調べた上で答えてくれた。私がその車を買いそうな客に見えたのだろう。
その後、試乗もした。セールスマンを隣に乗せて近所を一周。車の中でも色々な質問をする。セールスマンは一所懸命に答えてくれる。1時間ほど経過したところで、ようやく私は、「この車、気に入りました。8000ドルくらいになりませんか?」と聞いてみる。
中古車ディーラーがつけていた価格は、9900ドルだった。セールスマンは「勘弁してくださいよ。そんなに安くなりませんよ」との返事。
しかし私という客を逃したくはない。すでに1時間も費やしている。何とか買ってもらいたい。そのためには少しくらい利幅が薄くなってもよい。別の客との話し合いをゼロから始めるよりマシだ。こう思っている。
結局、交渉した結果、8500ドルで買うことができた。私のために時間を費やしたセールスマンは、どうしても私に車を売らなくてはいけないという心理になっていたからだった。
敵対的な交渉では、相手を呼びつけるのは効果的。何時間もかけてあなたに会いに来る。外国企業との交渉であれば何日もかけてあなたに会いに来るのだ。あなたの会社の会議室に着いた時点で、すでに大変な投資をしている。手ぶらで帰るわけにはいかなくなる。
一方、あなたはどうか?
あなたは5分前まで別の仕事をしていた。今回の交渉のために時間を使っていない。そうであれば、「あまりに相手が強情だったら交渉をすぐに切り上げよう。それが終わればまた別の仕事に取りかかることができる。交渉は、日を改めてすればよい」と強気の姿勢で臨める。不利な譲歩をしてまで、交渉をまとめなくてもよいという気になっている。
どちらが出向くかによって、スタート時点で両者の姿勢にこれだけの違いがある。それを知れば、あなたは有利に交渉を進めることができるはずだ。
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