分散投資は初心者向けだ
バフェットは、バークシャーの「株主への手紙」でも、たびたび集中投資について書いています。一例として、1987年の手紙を引用してみましょう。
「私たちの方針は集中投資です。事業や株価について確信が持てないときに、あれこれ少しずつ買うことはしないように努めています。ある事業がとても魅力的だと確信したときは、買う意味があるといえるだけの大きな投資をすることが正しいと考えています」
また、バークシャーの副会長を務めているチャーリー・マンガーは、2001年の株主総会で「アメリカで、わずか3社の優れた会社に自分の財産のほぼ全額を長期的に投じた人は、間違いなく大金持ちになっています」と話しています。
実際、マンガーは25億ドルも投資しているのに、銘柄数はわずか7銘柄です。確信が持てないものや間違っているものを100銘柄持つよりも、数銘柄だけでもピッタリと正しいほうがよいと考えているのです。
分散投資は初級者向けの考え方?
これまでの説明を読んで、疑問を持たれた方も多いでしょう。「銘柄を絞り込む集中投資よりも、多くの銘柄に分ける分散投資のほうがリスクが少ないのではないか」と考える人は少なくありません。
誤解のないように付け加えると、バフェットは分散投資を否定しているわけではありません。「分散投資は無知に対する保護として役に立ちます」と話しています。「もしマーケットと比べて悪くならないようにと願うなら、すべての株を持てばいいのです。別に悪いことではありません。それどころか、会社をどのように分析したらよいかわからない人にとっては、まったく健全なアプローチです」。
もしあなたが、株式市場の平均と同じくらいのパフォーマンスを望んでいるなら、手軽に分散投資ができるインデックス・ファンドを持つという方法があります。これは投資信託の1つですが、日経平均株価などの株価指数(インデックス)と同じような値動きをするように、さまざまな株式を広く組み入れた商品です。
分散投資は初級者向けの考え方?
『株で富を築くバフェットの法則』の著者ロバート・G・ハグストロームの調査によると、インデックス・ファンドで250銘柄を組み入れれば、市場平均のパフォーマンスから上下に外れる確率はわずか3%にすぎません。一方、15銘柄に絞った場合は、上下に外れる確率は25%になります。これは、銘柄を絞ると収益がマイナスになる可能性がある一方で、うまくいった場合のプラスも大きいことを表しています。
そのため、市場の平均よりも高いパフォーマンスを上げたいなら、安易に分散させるのはよくありません。たくさんの銘柄のうちの1つが素晴らしい成績を上げても、全体の価値は少ししか上がらないからです。一方、集中投資で銘柄を絞り込めば、投資対象の会社をじっくり研究することもできますから、優れた会社を見つける確率も高くなります。
銘柄を絞れば絞るほど真剣になれる
もしあなたが高いお金を払ってサッカーのチケットを買ったのに、当日体調が悪くなったらどうしますか。ほとんどの人はなんとかして試合を観に行こうとします。しかし、チケットを無料で手に入れた場合は、あきらめる人のほうが多いかもしれません。マネー心理学では、人間の言動はかかったコストによって左右されるといいます。
株式投資も同じです。コストが少なければ深く考えずに投資をし、損をしても気になりません。しかし、100万円、1000万円と金額が上がるにつれて、本当に投資する価値があるのか、どういう商品なのかを吟味するようになります。バフェットも次のように話しています。
「パートナーシップを運営していた頃に、大口の投資と小口の投資でどちらの利回りが高いかを調べたことがあります。すると、大口の投資は小口の投資よりもつねに高い利回りを上げていたのです。
これは、金額が大きくなればなるほど、決断までの調査が詳しく行なわれるためで、出資者からの批判も乗り越えなければならないからです。金額が小さいと、そうした作業はおざなりになる恐れがあります。『パーティで小耳にはさんだので、200株買ってみたんだ』という話をよく聞きますが、小口の投資はたいした理由もなく行なわれるものです」
集中投資で大きな金額を投資することによって真剣みが増し、それが成功へとつながっていくのです。


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