有機食品は森林を破壊する
http://cruel.org/economist/economistgoodfood.html
有機食品は、人工農薬や人工肥料を使わずに育成されるので、一般には化学製品に大きく頼った通常の集約型農業より環境に優しいと思われている。でもそれは「環境に優しい」という意味にもよる。農業は根本的に環境に悪いのだ。人間が 1 万 1 千年前に農業を採用して以来、すさまじい森林破壊が展開された。でも 1960 年代の「緑の革命」の後で、化学肥料の多用によって、穀物の収量は三倍になったが耕地面積は大して増えずにすんだ。有機農法は、化学肥料のかわりに輪作や糞尿、堆肥に頼るので、集約度はずっと低い。だから世界のいまの農業生産を有機農法で生産しようとしたら、現在の数倍の農地が必要になり、森林はまったく残らないだろう。
フェアトレードは貧乏な農民の所得を上げようとしている。フェアトレード食品は、通常の食品より値段が高い。追加の分は補助金として農民に戻されることになっている。でも、農産物の価格が低いのは、作りすぎのせいだ。フェアトレード食品は価格をつり上げるから、農民たちは作りすぎの製品から他の作物に転作せずに、かえってその作物を作り続けるようにしてしまい、その結果かえって価格は引き下げられることになる。だからほとんどの農民にとっては、当初の意図とは正反対の結果を招くことになる。そしてフェアトレード食品の上乗せ価格分のごく一部しか農民にはわたらないので――ほとんどは小売り商に行く――この方式は金持ち消費者に自分たちの気前のよさを過大に評価させ、貧困削減を簡単なものにみせてしまう。
でも、地元食品を支持する主張 (地産地消)、つまり消費者になるべく近いところで生産された食品を食べようという主張は文句なしなんじゃないの? なるべく食物に移動させず、結果として炭酸ガスも少なくてすむのはまちがいないのでは? 驚くなかれ、これもダメなのだ。イギリスの食料を調査したところ、食料の移動距離のほぼ半分(つまり食料を運ぶ車の移動距離)は、買い物客が商店に行き来するときに生じる。ほとんどの人は、畑よりはスーパーマーケットの近くに住んでいるので、地元食品を重視すると、生産者に直接みんなが買い物にでかけてかえって移動距離は増える。食物を運ぶのに、スーパーマーケット式にぎっしり詰め込んだトラックを使うのが、食物輸送にいちばん効率がよい方式なのだ。
さらに、輸送だけでなく生産に使われるエネルギーまで考慮すると、地元食品 (地産地消) はもっと環境に優しくないことがわかる。羊をニュージーランドで育ててイギリスに運ぶほうが、イギリスで羊を育てるよりも使うエネルギーが少ない。ニュージーランドの牧羊はあまりエネルギーを使わないからだ。そして地元食品 (地産地消) 運動は、金持ち国が貧乏国の産物を買うのを否定するので、フェアトレード食品と矛盾することになるのは言うまでもない。でも地元食品 (地産地消) 運動は、どう見ても古くさい保護主義が環境運動で偽装しているだけのようだし、たぶん貧乏国のことはどうでもいいのだろう。

